<ご報告>5月17日 (日) 日本建築医学協会 設立20周年記念講演会を開催致しました(1)
5月17日、九段会館テラスにて、当協会の
設立20周年記念講演会を開催致しました。
当日は天気も良く、会場からは前方一面に
日本武道館や皇居周りの緑がたくさん見え、
景色がとても綺麗でした。


今回は20周年記念講演会ということで、時間を拡大し、4人の講師の先生を迎えてご講演して頂きました。
午前の部には
トータルヘルス研究所の落合正浩先生、
日本オルゴール療法研究所の佐伯一成先生、
午後の部には
(社)空気環境改善研究所の石坂閣啓先生
(社)日本建築医学協会の松永理事長
にご講演頂き、その後は4人の先生にご登壇頂き、
シンポジウムも開催致しました。
また、今回は講演だけでなく、
協会活動20年のあゆみをご紹介させて頂いたり、
お昼休みにはランチョンセミナーも開催致しました。

司会:小神事務局長
開会挨拶では、松永理事長より
建築医学とは何かについてお話頂きました。
建築医学にはハード面とソフト面があり、
ハード面については建築素材や建築施工が関わりますが、
それよりもっと重要なのはソフト面であるとお話されました。
人間の心の働き、繋がり、形成が非常に重要であり、
そこには住環境が大きく関わっているということです。
その心に対してアプローチする手法が建築医学です。

開会挨拶:松長理事長
協会紹介では、小神事務局長よりこれまでの
協会20年の活動の紹介がありました。
20年前の設立時の話から、これまでの様々な
講演会や懇親会、実際の住宅やオフィスの紹介など
様々な写真を交えて説明し、日本建築医学協会が
どのような主旨でどのような活動を行ってきたのか、
初参加の参加者にも分かりやすい内容でした。

協会紹介:小神事務局長
落合正浩先生からは、
「建築医学とイキイキ健倖生活」
というテーマでご講演頂きました。
落合先生は長年、公衆衛生医として
企業や自治体の健康づくりに携わる中で、
「人が健康で幸せに生きるために本当に大切なものは何か」
を探究してこられました。
講演ではまず、世界最長級といわれる
75年間の追跡研究を紹介されました。
その研究によると、健康長寿に最も大きく影響する要因は、
お金や地位ではなく
「身近な人との良好な人間関係」
であることが分かっています。
家庭や職場において信頼関係を築くことが、
心身の健康を支える重要な基盤になるのです。

落合正浩先生
また、生き生きと生きるためには
「命の力」を発揮することが大切であり、
そのためには人と人とのつながりや
協力関係が欠かせないと語られました。
さらに落合先生は、建築医学とは単に
特別な住宅を建てることではなく、
日常生活の中でできる環境改善から
始まると強調されました。
その代表例として紹介されたのが、
「整理・整頓・清掃」の3S活動です。

落合正浩先生
部屋が散らかっていると、脳は無意識のうちに
大量の視覚情報を処理し続けるため、
脳疲労が蓄積します。また、
「片付けなければならない」
というストレスが交感神経を刺激し、
心身に負担を与えます。
一方で、整理整頓を行うことで脳への負荷が減り、
集中力や判断力が向上します。
さらに掃除そのものが適度な運動となり、
心を安定させるセロトニンの分泌にもつながります。
特に一日の約三分の一を過ごす寝室は重要であり、
まずは寝室、そしてベッド周辺から
環境を整えることが勧められました。

落合正浩先生
落合先生は、
「これからの時代は、あれも必要、これも必要
という時代ではなく、本当に大切なものを
見極める時代になる」
と述べられました。
住環境を整えることは、
単なる片付けではありません。
心を整え、人とのつながりを深め、
命の力を引き出すための第一歩であることを、
改めて教えていただく講演となりました。
佐伯一成 先生からは
「脳を正常化するオルゴール療法の可能性」
というテーマでご講演頂きました。
講演ではまず、「ハイパーソニック・エフェクト」
と呼ばれる研究成果について紹介されました。
これは、人の耳には聞こえない
高周波や低周波を含む音が、
脳の深部である脳幹や視床下部に
影響を与えるというものです。
通常、私たちが音楽を聴いたときに
反応するのは思考や感情を司る大脳ですが、
高周波を豊富に含む音は、
生命維持や自律神経、ホルモン分泌、免疫機能を
コントロールする脳幹や視床下部にも
作用することが分かってきました。

佐伯一成 先生
この研究によれば、
脳幹や視床下部が活性化すると、
自律神経の働きが整い、本来人間が持つ自然治癒力が
十分に発揮されやすくなると考えられています。
佐伯先生は、
「オルゴールが病気を治すのではなく、
人間が本来持っている治る力を
引き出すことが大切である」
と語られました。

佐伯一成 先生
また、脳幹や視床下部を活性化させるためには、
高周波だけ、あるいは低周波だけでは不十分であり、
幅広い周波数帯域を同時に含む音環境が
必要であることも説明されました。
その代表例として、熱帯雨林の森の奥深くの自然音、
優れたオーケストラ演奏、パイプオルガンの音色、
そしてオルゴールが挙げられます。
特にオルゴールは、低周波から高周波まで
幅広い周波数を含み、家庭や病院でも
手軽に活用できることから、
オルゴール療法の中心的な存在となっています。
さらに、オルゴールは音を耳で聴くだけでなく、
本体に触れることで振動が身体に伝わる
「骨伝導」の効果も期待できると紹介されました。
講演では、現代社会の音環境についても触れられました。
都市部では自然界に豊富に存在する
高周波成分が著しく減少し、
一方で交通騒音や機械音などの
人工的な環境に囲まれて生活しています。
こうした環境の変化が、自律神経の乱れや
ストレスの増加につながっている可能性が
あると指摘されました。

佐伯一成 先生
佐伯先生は、現代人の健康を考える上で、
食事や運動だけでなく、
「どのような音に囲まれて暮らすか」
という視点も重要であると強調されました。
自然のひびきや生の音を生活の中に取り入れることが、
心身の健康を支える新たな可能性となることを示唆する、
大変興味深い講演となりました。
(次回記事へ続く)











