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2024-04-25

<ご報告>4月20日 (土) 建築医学講演会&シンポジウムを開催しました

4月20日、慶應義塾大学協生館にて、建築医学講演会&シンポジウムを開催致しました。
当日は天気も良く、会場からは日吉キャンパスのグラウンドの景色が一望できました。

司会進行 小神事務局長

開会挨拶では、落合正浩先生より、建築医学が目指している方向性についてお話されました。そして、その実現のためには様々な分野の融合、あらゆる関係者との連携が必要であり、その重要性についてお話頂きました。

開会挨拶 落合正浩先生

講演の部では、空間デザイン心理学協会の高原美由紀先生と、陽光LED照明開発者の森幸一先生にご講演頂きました。

高原先生からは、
「幸せな人生を送るために必要な空間づくりの方法」
というテーマでお話して頂きました。

どんな住まいなら幸せに暮らすことができるのか、プロを含めてほとんどの人が分からないといいます。そして、分からないまま多くの人が多大なお金をかけて家をつくっていることがもったいないといいます。

高原美由紀 先生

高原先生が空間デザイン心理学をつくるきっかけとなったのは、27年前のあるリフォーム。
お客様の要望に応えて収納がたくさんある家を作ったところ、完成時は喜ばれたものの、1年後様子を伺ってみると、前と同じように物が散らかり、収納があるのに片づけられない自分をより責めていたのです。

このことから、「機能的で美しい住まいが幸せとは限らない」、「お客様の要望に応えることが幸せにつながるとは限らない」、ということを強く実感されたとのこと。

そこから、設計者としてお客様に貢献するためにはどうしたらよいかということで、心理学、脳科学、人間科学など様々な分野を研究され、建築と結び付けたのです。

高原美由紀 先生

実際、建築関係の論文は、モノを中心とした論文ばかりで、建築と人間や人間の幸福を結び付けたものはほとんどなかったといいます。

人間のストレスの原因は、一言で言えば住まいが合っていないからであり、人間の脳は1万年前の縄文時代からたいして進化していないにも関わらず、技術の進化によって情報が溢れ、脳が疲れてしまっている状態なのです。

まず物を減らすことによって脳が安心し、リラックスすることができます。
リラックスして初めて仕事や勉強に集中することが可能となります。
そのポイントとして、扉を背にして座るデスク配置は避ける、素材は天然木を使う、グリーンを増やすなど、具体的に説明して下さいました。

高原美由紀 先生

家族が仲良くなる部屋の法則の話では、視野60度の法則、3.5mの法則など、実際に会場で参加者とともに実演して下さいました。そのほかにも、脳の左右の法則、無意識層の話など、建築医学に共鳴した内容を、理路整然と分かりやすく説明して下さいました。

森幸一先生からは
「照明が健康と幸せを創る」
というテーマでお話して頂きました。

森幸一 先生

日本は高度経済成長期を経験し、世界で技術が進化したにも関わらず、病気は減るどころか、がん、自殺、うつなど増加の一途をたどっています。それにも関わらず、何の手立ても打っていないということが問題であるといいます。
日本は海外から「グリーンウォッシュ」と揶揄され、その意味は「悪いと分かっていても何もしない」ということだそうです。
例えば、現在普及しているLED照明は、もともと「眠れなくなる」「イライラする」などの問題点が指摘されていたにも関わらず、その原因を探していない状態であったのです。

森幸一 先生

今回は、その照明の光について詳しく説明してくださいました。
太陽光と一般照明の違い、電球の光とLED照明の違いなど、見た目は同じでも中身は全く違うということを説明して下さいました。

太陽光は人間と生物に多大な恩恵をもたらしています。
例えば、朝の光でビタミンDが生成されます。
このビタミンDが不足すると様々な問題が発生します。

太陽光は7つの光があると言われていますが、波長に応じてそれぞれの光に意味と特徴があります。

森幸一 先生

例えば、620nmの光は皮膚を修復する効果があり、
450~495nmの光は目の覚醒や注意力向上の効果があり、
300nmの紫外線はビタミンDを生成します。
これらの光は一般のLEDでは受けることができないのです。
LEDは省エネではありますが、睡眠障害や視覚疲労を招く可能性があるということです。

森先生の開発された陽光LED照明は、室内に太陽光をもたらすことができるという意味で、非常に人間の心身に良い影響を与えことができるということでした。

その後のシンポジウムでは、参加者からの質問を交えて、今回の講演内容について、様々な角度からディスカッションを行いました。

森先生は実際に、太陽光と同じ光を出す陽光LED照明と一般LED照明を用意され、光の成分がいかに違うかをスペクトルメーター測定によって見せて下さいました。

高原先生の空間デザイン心理学的な内容は建築医学と同様、重要であるにも関わらず、大学の建築学科などでは教えられていない内容であり、今後どのように認知度を高めていけば良いかについて、落合先生からも提案が挙がりました。

閉会挨拶 宇佐美副理事長

参加者の皆様からは
「素晴らしいお話ありがとうございました。とても温かい気持ちになりました。」
「一般人が知らないことが多く、大変参考になりました」
「自立神経失調や精神疾患で苦しむ方々にもお伝えしたいお話でした。小さなできるところから実践したいです。」
「太陽光の力というものを改めて知ることができました」
「建築士でこの視点をもっている人はなかなかいなかったので、とても嬉しいです」
などのコメントを頂きました。

誠にありがとうございました。

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